この国の「発達障害者支援法」において、発達障害者とは「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するものとして政令で定めるもの」と定義されています。
しかし近年、大人になり社会に出てから軽度の発達障害が発覚、もしくはその疑い・傾向が出てきた「グレーゾーン」の人が増えているそうです。
そもそも現在の日本社会における「普通」の基準が高すぎるという指摘もあり、発達障害の人が働きやすい環境・ルール作りは当事者だけでなく定型発達の人にとってもより働きやすい職場作りにつながるといわれています。
ここでは、厚生労働省・都道府県労働局・ハローワークが作成した
「発達障害のある方への職場における配慮事例のご紹介」https://www.mhlw.go.jp/content/000575751.pdf
の「業務の指示」について、補足しながら一部ご紹介していきたいと思います。
●予定などが急に変更されると混乱して仕事に専念しにくくなるため、スケジュールは早め
に伝える。どうしてもスケジュールが直前にならないと定まらない場合は、のちに変更す
る可能性がある旨、できればその場合のスケジュールも伝えておくとよいかもしれません。
●口頭で伝えただけでは忘れてしまうため、紙に書いたりホワイドボード等に記載したりする。必ずしもこちらで書いて用意する必要はなく、メモをとってもらってもOKです。
また発達障害の人の場合、できるようになるまでなかなか覚えられない(数か月~一年程度かかる場合も。特に相性の悪い仕事内容でない限り、覚えてからは他の人よりできるようになることも珍しくありません)ということが少なくないのですが、文字に残しておけば人に聞かなくても何度も確認ができます。
●複数の者から指示をすると混乱するため、指示系統を統一して本人に二重に指示が伝わらないようにしている。人によって職場内共通の決まり事をどの程度遵守するかやルールそのものが異なっていると混乱を招くため、マニュアルはある程度厳格に定めておくとよいでしょう。また、わからないことなどを誰(複数人)に確認すればいいか決めておくことで、ミスを減らしやすくなります。確認したことで怒られると、個人差はあるものの怒られることに強い苦手意識を持つことが多い発達障害者は「確認したら絶対に怒られるが確認せずにやって合っていれば怒られない可能性が出てくるから確認せずにやってみよう」と考え結果的に大きなミスを招く場合があります。こういったことを防ぐために、例えばどうしても感情が表に出やすい方は「(今どうしても気分がよくないので)少し待つか他の人を当たってほしい」とお願いするなど、確認がしやすい環境を保っていくことが大切です。
発達障害特性の傾向や度合いは人によって異なるため、今回ご紹介したことが必ずしも正しいとは限りません。リーフレットにもあるように、相手の方とよく話し合うことで障害の有無に関係なく快適に働ける環境を目指していきたいですね。
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